嗚呼、過ぎし ISS よ

この記事は約4分で読めます。

ちょっしもた…

 東の空へ消えていく国際宇宙ステーション(ISS)を見送りながら、思わずこぼれたのは故郷の言葉でした。

ISS を撮ろう!

 2020/06/02 の昼間。ふと窓を見ると青空が見えました。「そういえば今夜も ISS が見えるはず!」と取り出したるはスマホのアプリ「ISS Spotter」。20時過ぎに北の空を通過するとの予報が出ていました。

「最近 ISS 撮ってないし、行ってみるか~」

 夕方すぎに自宅近くの広い公園へいそいそと出かけていきました。散歩をする人や犬を横目に、機材をセッティング。「ステラショット2」の待ち伏せ撮影機能を使って、Canon のカメラでバースト撮影(連写)をすべく、PC も広げます。

図1:望遠鏡、カメラをセットし「ステラショット2」を立ち上げたようす。事前に「データ更新」を行い、最新の ISS の軌道要素データを入れておきました。

 だんだんとあたりが暗くなってきました。明るめの星を導入してピント合わせをしたり、試し撮りをしたりしていると、まばゆい LED ライトがこちらに近づいてきました。

👮「今お話聞いても大丈夫ですか?」

👮「これは天体観測ですか?」

👮「何が見えるんですか?」

 生まれてはじめての職務質問です。ちょっとドギマギしつつも怪しいものではないことをアピール。

「これから、あの辺を国際宇宙ステーションが通過するんですよ。それを撮影したくて…」

 しっかりとパトロールしてくれていることに感謝しながら、再び PC 画面に臨みます。この時期になると寄ってくる虫たちとも格闘しながら、待ち伏せ撮影を開始!

 ここで、カメラにメモリカードが入っていないことに気づきました!ステラショット2からバースト撮影操作を行う場合には、転送時間の関係上メモリカードが必須なのです。ちなみに、あとでバースト撮影画像をメモリカードから PC に一括転送することができます(現在はPC直結の Canon カメラのみ)。

 PC に挿入したままだったメモリカードをカメラに入れ、もう一度待ち伏せ撮影を開始。ちょっとあたふたしましたが、まだ5分ほど時間があります。あとは空を見ながら ISS がやってくるのを待ちます。

…「あ、きたきた!」

 多少薄雲のかかる北西の空から、じーーーーっと動く ISS が確認できました。20時11分40秒あたりに、少し子午線をまたぎ最大高度となるので、ステラショット2と望遠鏡・カメラはその位置でじっと待機しています。

 待ち伏せ撮影の導入後に「導入補正」を自動的に実施し、位置のずれも補正しているので軌道要素の精度次第ですが、ほぼほぼ画角に入ってくれるはずです。

… チラッとステラショット2の星図を確認。あれえええ?\(^o^)/

 実際の空に見えている ISS の位置と、星図上で動く ISS の位置が明らかに違います。空の ISS はそろそろ子午線を越えるはずなのに、星図上では北西の空に現れたばかり。

 (空に見えているあれは実は ISS ではない別な何か?)

 (本当の ISS はまだ雲に隠れている?)

 (データ更新した軌道要素がずれている?)

 一瞬にしていろいろなことを考えましたが、ふとスマホ、腕時計、PC の時間を見比べてみました。これが原因でした。なんと PC の時間が 1 分強も遅れていたのです…。

ちょっしもた…

 諦めムードでカメラのライブビューを見ていると、画角の中心を通り過ぎる光跡。嗚呼、時間さえ合っていればしっかり捉えられていたようです。そして、ISS がベガの南東に消えていく頃、虚しく響くシャッター音。画角通過の4秒前から15秒のバースト撮影をセットしていました。しっかり動いていました。

「撮影前には日時を確認!」

 いい勉強になりました。望遠鏡、カメラ、PC など機材の日時はしっかり合わせておくのが基本ですね。とくに ISS 撮影のような時間設定が撮影自体にダイレクトに影響するケースは事前にしっかりと再確認しておくべきでした。

 人生初の職務質問や、メモリカードの入れ忘れでやはり内心慌てていたようです。新人くぼた、もっと経験を積みますぞ。

もしこれが皆既日食の現場で、海外に行ってダイヤモンドリングを逃していたら…!などと想像するだけで恐ろしいです(´・ω・`)

関連情報

タイトルとURLをコピーしました