【16年ぶりの現象】土星の環が消える!【ステラナビゲータで再現】

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2025年は土星の環が見かけ上消えてしまう「土星環の消失」シーズンにあたります。

土星の環(明るい部分)の厚みはせいぜい数十m程度なので、その環を真横から見るような位置関係になったり環の真横から太陽光が当たるような状態になったりしたタイミングで、環が見えなく(光らなく)なってしまうのです。

せんすい
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「星ナビ」2025年4月号の特集記事もチェックしてくださいね。

星ナビ2025年4月号「土星の環が消える」記事。8ページで消失の理由や見え方などを解説しています。

15~16年ごとにしか見られない珍しい土星の姿、ぜひ天体望遠鏡で観察したいものですが、シミュレーションで楽しんだり予習したりするのも面白いものです。シミュレーションなら日時を変えて見え方の違いを調べたり、地球以外の場所から見た様子を表示したりするのも簡単です。

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それでは早速試してみましょう!

基本編:地球から見た様子をシミュレーション

①起動時のステラナビゲータ

まずは地球から見た土星の様子を表示する手順をご紹介します。起動直後のステラナビゲータ12は以下のように表示されます。

②表示形式の切り替え

表示形式を「赤道座標」に切り替えます。「地平座標」のままだと、土星が地平線の下にあるときには見えなくなってしまうからです。

③土星を真ん中に表示

次は、土星を星図の真ん中に表示します。「検索」バーに「土星」と入力して探すと簡単です。

④土星を中央に設定

土星が中央に表示されたら、天体情報パレットの「中央固定」ボタンをクリックして土星が常に中央に表示されるようにしておきます(固定しておかないと、日時の変化につれて土星が星図内を動いていきます)。

⑤視野を拡大する

土星が大きく見えるように、「視野範囲バー」を使って視野を拡大します。

⑥表示倍率を上げる

さらに土星を大きく表示させるために、表示倍率を上げます。「リボンバー」の「惑星・衛星」タブを選んで、拡大倍率を設定しましょう。

⑦日付を変えてシミュレーション

ここまでで、土星を星図の中央に大きく表示させることができました。それでは次に、日時を変えて環の傾きがどのように変化するか、つまり「地球から土星の環がどのように見えるか」をシミュレーションしてみます。

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日時設定は、「日時」ダイアログのカレンダーや数値の入力、また「ステラパッド」の数値部分のクリックなどで変更できます。

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ステラパッドの「日」のところにマウスカーソルを合わせて左ボタンを押したままにすると、日付がどんどん進んでアニメーションのように表示できます。

右ボタンなら日付がさかのぼっていきます。

3月下旬ごろから5月下旬ごろまで環が見えなくなることや7月ごろに少し開くこと、11月下旬にふたたび環がほとんど見えなくなることを確かめてみてください。

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土星までの距離に応じて見かけサイズも変わります。以下の動画も合わせてご覧ください。

発展編:太陽から見た様子をシミュレーション

3月24日は「地球から見ると土星の環の傾きが0になっているので環が見えない」状態ですが、5月7日には「太陽から見ると土星の環の傾きが0になる」状態が起こります。光っている部分がほとんどなくなるため、この前後の期間にも環の存在がわかりづらくなります。

それでは次は、この「太陽から見た土星の傾き」を表示してみましょう。方法は簡単、場所の設定を「地球」から「太陽」に変えるだけです。

日付を変えて環の傾きの変化を確かめたり、場所を「地球」と交互に切り替えて環の傾きの違いを見比べたりしてみると楽しいです。地球からと太陽からとで、土星の環の「切れかた」(土星本体の影によって奥の環が一部暗くなっている様子)が異なることもわかるでしょうか?

2025年 土星の環の消失(地球と太陽から見た環の傾き)をステラナビゲータ12で再現。
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ちなみに、3月24日~5月7日は、「地球からは土星の環の南側を見ている」「太陽は土星の環の北側を照らしている」期間で、地球からは環の光っている部分が見えないために環が見えなくなります

応用編:土星から見た様子もシミュレーション

最後は、環の消失現象を「土星から見る」と何が起こっているのかを調べてみましょう。

地球から見て土星の環が消えているということは、反対に土星から見ると「真横から見た環と地球とがピッタリ重なっている」ということになります。まずこの様子を表示しましょう。

現在地の天体を土星にして、土星上での緯度を「0」にすると、土星の環(赤道上に広がっている)を内側から真横に見た様子が星図に描かれます(真横からなので、実際には星図に環は見えません)。

このままでは環がどこにあるのかわからないので、環の位置を示すものを星図に表示します。土星に多数存在する衛星のうち、第4衛星の「ディオネ」という天体は、ほぼ土星の赤道上空を公転しています。つまりディオネの軌道を星図に描けば、その線が土星の環の位置(土星の「天の赤道」)を表している、と考えられるわけです。

せんすい
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このアイディアは早水勉さんが考案されたものです。星ナビ2025年4月号の記事も要チェック!

この線(環)に対して、太陽や地球はどこにあるのでしょう。

図の日時設定(2025年1月1日)の場合、地球と太陽はどちらも土星の環の上(北)にあることがわかります。地球から見れば「土星の環の北面が見えていて、環の傾きは小さい」、太陽から見ると「土星の環の北面を照らしていて、環の傾きは地球から見た時よりも小さい」状態ですね。

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日付を変えて、環に対する地球と太陽の位置関係や、そのときに地球(太陽)から環がどう見えているかなどを、想像してみましょう。

シミュレーションしてみると、以下のようなことがわかります。

  • 3月24日:地球が環(ディオネの軌道の線)と重なる=地球から見て環が真横
  • 4月10日:環の上下に地球と太陽が分かれる=地球からは環の光っている面が見えない
  • 5月7日:太陽が環と重なる=太陽から見て環が真横(環が光らない)
  • 7月7日:地球も太陽も環の南側にあり地球は環から離れている=環が(比較的)見やすい
  • 11月24日:地球が環に接近する=地球からは環がほとんど見えない
2025年 土星の環の消失(地球・太陽・土星から見た様子のシミュレーション)
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シミュレーションで、そして実際の空で、珍しい土星の姿をぜひお楽しみください!

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