我が家のベランダで、ステラショット2の「極軸補正」機能を使用したようすを動画でご紹介します!
「極軸補正」とは?
ステラショット2の「極軸補正」機能は、観測した天体の動きから極軸方向を算出し、極軸合わせを補助する機能です。
星空を撮影しその動きを解析することで、極軸のズレを検出。その後明るい星を導入して、画面内で中心になるように赤道儀を調整することで、極軸合わせができます。
ここで導入する「明るい星」は、精度を良くするためいくつか条件があるものの、任意の星を選ぶことができます。
天候や地形的な障害物、ベランダのような北極星が見えない場所でも、極軸を正確に合わせることが可能です。
「極軸補正」は ステラショット2 体験版 でもお試しいただけます!
「極軸補正」の操作と動きを動画でチェック!
2021/03/14 に、自宅のベランダで実際に「極軸補正」機能を使って極軸合わせを行った際の様子を動画にまとめてみました。これまで「説明を読んでもよく理解できなかった」「操作の方法が正しいのか自信がなかった」という方、ぜひご覧くださいませ!
「極軸補正」の流れをおさらい
動画で「極軸補正」の一連の流れをご覧いただきました。百聞は一見にしかず、ですね! 改めて、個々の細かい操作を文章と図とで説明します。頭の中で動きを想像しながら、確認いただけたらと思います。
まずは、テスト撮影を行って適切な「撮影設定」を探ります。
- 天頂付近に望遠鏡を向け、カメラパネルに切り替えて、最大感度、露出数秒(星が流れない程度)、画質はJPEGの最高画質に設定します。
- 設定ができたら1枚撮影します。撮影が終わると自動的に再生画面に切り替わります(図1)。
- 画面下のアイコンをクリックしてヒストグラムを表示させます。
- ヒストグラムの山が、左から1/3から1/4になるのが適正露出です。もし露出が過ぎる場合は、ISO感度や露出時間を調整します。
- 適正露出になったら、プリセットに「テスト」や「試写」といった名称で登録しておきましょう(図2)。
いよいよ「極軸補正」を行います。
- まずは望遠鏡を極軸補正の開始位置に向けます。なるべく星の写りやすい高いところを選びましょう(図3)。
- 望遠鏡を極軸補正の開始位置に向けたら「極軸補正」ボタンをクリックして「極軸補正」ダイアログを開きます(図4)。
- 極軸補正ダイアログの撮影設定で、先ほど設定したテスト撮影用のプリセットを呼び出します。
- 「開始」をクリックすると、「撮影」と「望遠鏡の導入」を繰り返しながら計測を実行します。
- 「開始」後は全ての動作が自動で行われます。2、3分程度で計測が終わります。 ※ 極軸補正の開始位置に子午線ギリギリの場所を選ぶと、恒星時追尾により気づかないうちに子午線をまたいでしまい、ドイツ式赤道儀では鏡筒が逆向きに動く可能性があります。極軸補正中は必ず望遠鏡の動く向きを確認し、すぐに停止できるよう注意してください。
- 計測完了後、グラフに現在の極軸のずれが表示されます。
- 緑の軸の中心:天の北極
- 赤い × 印:現在の赤道儀の極軸の向き
- 白い円:ずれを収める目安の範囲(円の半径=接続中のカメラの画角の短辺)
- グラフを確認し、極軸のつまみを調節します。
- ずれが白い円の中に収まるまで 4 ~ 7を繰り返します。
最後に、明るい星を導入して極軸を精密に追い込みます。
- ずれが白い円の中に収まったら、星図上で高度60度以下の明るい星を導入します。
- 次にライブビューに切り替えると、導入した明るい星が中心からずれて見えています。
- この明るい星が画面中央になるように、極軸の調整ネジをまわして調整します。
- 明るい星が画面中央に表示されれば調整完了です。
やはり、文章で説明すると、なかなか伝わりにくいですね…
赤道儀の「操作」や望遠鏡の「動き」が伴うところは、もう一度、冒頭の動画をチェックしてみましょう!
しかし、自動で計測してくれるのは便利ですが、どうしてこのようなことができるのでしょう?
この計測方法は、アストロアーツが独自に考えた方法です。しっかり説明しようとすると数式がいっぱい出てくるので……。
要するに……?
要するに、3枚の星空の写真から恒星の「ずれ」を検出して、その量を計測しています。それを、ごにょごにょと計算することで「真の天の北極の向き」と「現在の赤道儀の極軸の向き」を算出しているのです。
なるほど……。古式ゆかしい「ドリフト法」を実際の時間経過いらずで実現しているんですね。
お、うまい例えですね! 「北極星」いらずの極軸合わせなので、動画でご紹介したように南向きのベランダなど、おうちで撮影するにも便利な機能ですね。
ステラショットは、天体の位置計算と赤道儀やカメラの制御をまとめて行う天体撮影・観察用のソフトです。
シミュレーション+赤道儀+カメラを組み合わせた高度な制御を行うことで、各機器個別の専用制御ソフトでは実現できない、スマートな天体撮影・観察を実現します。
今回ご紹介した「極軸補正」機能は体験版でもお試しいただけます。